80年前に過酷な戦場でたおれた
出陣学徒のかけがえのない人生の記録

 戦没出陣学徒というと、思索に富んだ日記や評論を残し特攻隊で亡くなった「著名な」方たちが頭に浮かぶかもしれません。
 しかし、本書で紹介されているのは、東京商科大学出身の全ての戦没出陣学徒の生きざまであり、死の物語です。
 友人や家族が書き残しておきたかった彼らの姿は、戦時下という特異な環境にあっても部活や勉学に情熱を傾け、芸術や人生を語り、冗談を言い合った当たり前の姿です。
 本人や当時の写真、それに第1章と第2章で語られる時代の雰囲気が想像を掻き立てます。そして本書全体から多くの人の非戦の思いが伝わってきます。







いま戦争を考えるきっかけとなる、自分事として戦争を感じられる書

学徒出陣80年目のレクイエム 還らざる学友たちへ

本書は戦没出陣学徒に対する追悼の書であると共に彼らの生きた証を後世に残す記録の書でもあります。
第1章、第2章と補論では出陣学徒が少年時代、学生時代を過ごした戦争の時代を彼らの周りで起きた具体的な出来事を交えながら追っています。
そして、軍隊と縁遠いいまの私たち日本人にはわかりにくい軍隊についてもわかりやすく説明しています。
そのうえで、第3章ではフィリピン、沖縄、ビルマといった戦域毎に亡くなった方々を紹介しています。
一人ひとりの短い生涯に寄り添うことで、戦争で命を奪われるとはどういうことかを知ることになります。